2023年11月に購入した本とひさびさの電子書籍購入についての記事です。
11月に購入した本
出版年月日、出版社は割愛しています。
- 今村夏子『こちらあみ子』『あひる』『星の子』『父と私の桜尾通り商店街』『木になった亜沙』
- えすのサカエ『未来日記』全12巻
- 高瀬隼子『うるさいこの音の全部』
- 津堅信之『日本アニメ史 手塚治虫、宮崎駿、庵野秀明、新海誠らの100年』
- 三島由紀夫『小説家の休暇』
- 山田佳世子『日本でもできる! 英国の間取り』
- 渡部潤一『賢治と「星」を見る』
- アンディ・ウィアー『プロジェクト・ヘイル・メアリー』上
- 『BRUTUS 2023年11月15日号 No.996 愛って。その答えが見つかる名作映画300』
先日、感想記事を書きました『むらさきのスカートの女』が、ずっと頭から離れない作品なので同著者の別の作品を読んでみたいということで今月は今村夏子作品を見つけたら買うということを繰り返していました。
出版された順番には反していますが『あひる』を先に読み始め、『むらさきのスカートの女』にも通じる不穏な感じにどっぷりと浸りました。
なんなんですかね…あの不穏な感じは…
感想記事を書きましたら、またこちらの記事にもリンクを貼る予定です。
→感想記事を公開しました。追記欄にリンクを貼っています。
高瀬隼子『うるさいこの音の全部』は先月発売された本ですが、やっと書店で見つけることができたので購入。現時点では9月に購入した本の『いい子のあくび』が読み終わりつつあるので、まずはそちらの感想記事が先になる予定です。
同著者の『おいしいごはんが食べられますように』では登場人物が現実にいると確信するほど共感しており、『いい子のあくび』でも程度の差こそあれど自分の周りで起こった過去の出来事とも重なる部分があって面白かったです。
『うるさいこの音の全部』は主人公が兼業作家として文学賞を受賞し、その後職場での立ち位置が変化していくなかで、現実と小説の世界の境界が揺らいでいくというお話です。
読む前の段階でこのあらすじを知り、読むのがとても楽しみです。
↓『おいしいごはんが食べられますように』の感想記事です。
渡部潤一『賢治と「星」を見る』は天文学者の著者が宮沢賢治の作品と天体の結びつきに焦点を当てた1冊です。
本の内容についてはNHK出版の公式サイトから以下に引用します。
少年、宮沢賢治は夜空を見上げ、何を思ったのだろう?
見つめる星々の先には、何が見えたのだろう?
天文学者も舌を巻くその正確な天文知識は作品にどう映しだされたのか?
天文学の楽しさを一般の人びとにわかりやすく伝え続けてきた天文学者が、賢治が作品に描き出した天体に私たちを招待する。
この本は宮沢賢治の生涯を天体で物語るプラネタリウムだ。さあ、一緒に旅に出よう!
宮沢賢治は今年で没後90年となることもあってか、さまざまな場面で関連の作品を目にすることが多かったです。
映画『銀河鉄道の父』も公開されましたし、この機会にと宮沢賢治に関する本への興味が高まっています。
『銀河鉄道の夜』はもちろん、木暮が中学のときに読んで辛くなった『永訣の朝』でも銀河や太陽といった天体の描写もあって、本著によってそれらの作品で宮沢賢治がどんな思いをもとに記していたのかに思いを馳せることになりました。
追記
● 2023年12月21日追記
今村夏子の短編集『あひる』の感想記事を公開しました。
『日本でもできる! 英国の間取り』
著者:山田佳世子
出版年月日:2020年10月7日 初版第1刷発行
出版社:株式会社エクスナレッジ
本の内容
今まであるようでなかった「英国の住宅の間取り」。
毎日を楽しく住むための工夫、そして家への愛情にあふれた1冊です。
「家は育て、つなぐもの」英国人の住宅を多く訪問して得た考え方です。
最初に英国の家を見たときは、外観の美しさに魅了されるのと同時に、その存在感に圧倒されました。
英国には、名もない一般人が住んでいた古い家が多く残り、その一般人が住み継いできた歴史が宿る家に今もなお人々が住んでいます。
歴史の流れとともにそこに住む人々とあり続けた家には遍歴が残り、それが存在感を醸し出し、「味」といわれるものを感じさせてくれるのだと思います。
私がその魅力に気づけたのは、多くの一般の家を訪問して家への考え方や住まい方を体感したからでした。
何より、そんな家で当たり前のように生活をしている人たちがいることに関心がわきました。
「家の中はどうなっているんだろう」?と興味をもち、家を巡る旅を計画しました。
さまざまな地域、いろいろな年代の家、それぞれ異なる家族構成の泊めてもらえる家を探し、約70軒ほどの家を訪問してその魅力を内部から探りました。
ーー「はじめに」より抜粋
『日本でもできる! 英国の間取り』は、今年の6月に購入した本の記事のなかで書いたマシュー・ライス『英国の民家 解剖図鑑』と同じ書店の棚にあってずっと気になっていた本です。
ちなみにどちらの本も同じ出版社でした。
『英国の民家 解剖図鑑』では主に建物の外観に焦点を当てていましたが、こちらの本では外観だけでなく間取りに焦点を当てており、イギリスの住宅史の年表もあるのでまた違う読み応えがありました。
『英国の民家 解剖図鑑』でも古い建物が受け継がれていくというイギリスの住宅事情を知ることになりましたが、こちらの本でも同様の様子をみていき日本とは異なる住宅への考えを見ていきました。
日本だと建て替えることが当たり前な部分もあるので、こうした住宅に関する違いを見ていくのは文化を知る上でも面白い切り口だなと思っています。
間取りの面では「ナローボート」の間取りが特に興味深かったです。
Instagramでナローボートの書店が紹介されているのを見かけてずっと気になっていたので、こちらの本でナローボートの成り立ちも知ることができ、ますます実際に見てみたいという思いが強くなりました。
ナローボートの歴史は思っていたよりも古く、18世紀にまで遡るそうです。
イギリス各地で見られる風景にカナル(運河)があります。美しい田園から都心まで各地に流れるカナルは、イギリスの魅力のひとつとなっています。
18世紀から19世紀にかけて、カナルを使った運搬が主流でした。その運河で使われていたのが「ナローボート」と呼ばれる、横幅約2メートルの細長いボートでした。その歴史は産業革命とともにあり、北イングランドの産業の盛んな都市と川をつなぐカナルを建設することから始まりました。(中略)ボートは、昔は馬がロープで引っ張り先導していました。つまり人の歩く速度で移動していたのです。その仕事を担うボートマンと呼ばれる人たちは低賃金だったこともあり、運搬しながら暮らすボートでの生活を始めます。全盛期は4万人以上の人たちがボートマンとして働き、ボートで暮らしていましたが、鉄道の普及とともに衰退しました。
(引用)山田佳世子『日本でもできる! 英国の間取り』p.136
産業革命を機に衰退していったナローボートですが、本著によると1968年の運搬法でレジャーとして復活されたことで現在ではナローボートで旅ができるようにまで発展しているそうです。
当初は労働面の都合から発展していったナローボートが現在ではレジャーの意味合いも含まれて受け継がれているという点は、日本でも船ではなかなか無いかもしれませんが近い事例がありそうだなと思って読んでいました。とはいえ、日本で当てはまりそうな事例がパッと出てこないんですが…
また著者が実際に訪問して、住宅面で活用されている様子とそこで見た間取りも紹介されていました。
ひとり暮らしをしている方と、3人家族で生活している方ではナローボートのサイズや間取りに大きな違いが表れたり、現代に即した住環境にDIYしたりと、限られた範囲で工夫している様子を知ることになりました。
こういう船上の生活には荷造りをせず住宅ごと旅行もできるという魅力もあり、めちゃくちゃ優雅な暮らしだなと思いました。
また、著者のコラムでは実際にナローボートに2泊3日の宿泊をしたエピソードも書かれていました。
住むことは叶わなくても宿泊としてナローボート生活を堪能できるのは良いですね。イギリス旅行の予定をたてる際はナローボート宿泊を予定に組み込みたいなと、海外旅行未経験者の木暮は思っています。
ナローボート以外にも、シャーロック・ホームズの家の間取りや、シェイクスピアの生家など、訪問できる有名な家の間取りも紹介されています。
それらに加えてドラマ『ダウントン・アビー』のロケ地になったハイクレア城の間取りなどもあり、『ダウントン・アビー』をいつか観ようと思っていた木暮は先に間取りを知ることになりました。ドラマを観たときは建物に注目してみようと思います。
そのほかにも、イギリス住宅の収納事情や方位を気にするのかなど、気になるお話も満載で読み応えのある1冊でした。
↓『英国の民家 解剖図鑑』についての感想を書いた記事です。映画『リトル・ダンサー(2000年)』で見た家々を思い出しながら読み、その土地の歴史と住宅が密接に関係している様子を見ていきました。
ひさびさに電子書籍を購入
えすのサカエ『未来日記』
著者:えすのサカエ
発表期間:『月刊少年エース』2006年3月号 - 2011年2月号
出版社:角川書店
あらすじ
(1巻のあらすじを公式サイトから引用しています。)
日記が趣味の中学生・天野雪輝は、自分の携帯に未来の出来事が打ち込まれているのを見つける。だが、読み進んだ彼が見たものは、自らの死の記述だった!クラスメイトの少女・由乃を交え、空前のサバイバルゲーム勃発
木暮が学生時代に友人に借りて読んでいた漫画『未来日記』。
先日Twitter(現・X)でトレンドにあり、情報を追っていくなかでKindleで1冊33円で購入できるという情報に行きつき、考える間もなく全12巻を購入しました。
できれば紙書籍版で全巻揃えたかったのですが、現時点では新品の販売はないようなので、Kindle端末利用者の木暮はKindleで購入しました。
買ってから調べたところ、Kindle以外の電子書籍販売サイトでもキャンペーンが行われており、角川コミック・エースの人気作品112点が対象になっているそうです。
内容はえげつないものではありつつも、作り込まれた物語設定には圧倒されるのでおすすめしたい作品です。
まさかこんなかたちで思い出の『未来日記』を揃えることができるとは…
電子書籍がなければ揃えるのはなかなか難しかったのではないかと思うと、電子書籍へのありがたみが増してきました。
ひさびさに電子書籍で本を購入したので、なんだか不思議な感じです。
とはいえ過去に電子書籍で購入した未読の本がまだあるので、そちらも忘れてはならない…
今月の読書関連記事
むらさきのスカートの女を見つめ続ける黄色いカーディガンの女が主人公のお話です。
ハラハラドキドキではないけれど、なんだかソワソワしてくる作品でした。
読書の秋と食欲の秋を一気に摂取できるのはレシピ本。ということで、木暮が好きなドラマ『きのう何食べた?』のレシピ本の再読について書きました。