凸凹コンビの金字塔
孤児院育ちで強盗の罪で刑務所にいた兄ジェイクが出所し、弟エルウッドと孤児院を救うために動き出す。
ボロボロの車で走り抜ける凸凹コンビの豪快さに、思わず見入ってしまう作品でした。
『ブルース・ブラザース』概要
公開年:(米)1980年6月16日、(日)1981年3月28日
上映時間:(劇場公開版)133分、(オリジナル版)148分
監督:ジョン・ランディス
あらすじ
スーツ、帽子、ネクタイ、サングラスと、全身ビシッと黒ずくめでキメた二人は、ジェイク・ブルース(ジョン・ベルーシ)&エルウッド・ブルース(ダン・エイクロイド)。義兄弟のちぎりを交わすこの二人が出会ったのは、幼少時代の孤児院でのこと。久々に孤児院を訪れた二人は相変わらずのいい加減ぶりをシスターにとがめられるが、そこで孤児院が資金難で存亡の危機に立たされたことを知る。孤児院を救うため、かつての仲間とブルース・ブラザーズ・バンド″を再結成し、コンサートで稼いだお金を孤児院に寄付しようと考える二人だが、それはハチャメチャ珍道中の幕開けだった!
感想
今回初めて鑑賞しましたが、聴いたことのある音楽や観たことのあるシーンが次々と登場して驚き、笑いも込み上げてきました。
聴いたことのある音楽は、主に『I Can't Turn You Loose』と『Think』と『Jailhouse Rock』の3つでした。『Think』はこの記事の最後にYouTube動画を貼っています。
『I Can't Turn You Loose』は某ものまね番組で、アレサ・フランクリンが歌う『Think』は何かのCMで、『Jailhouse Rock』はエルヴィス・プレスリーの監獄ロックなので聴いたことがありました。
観たことのあるシーンは、『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲(2001年)』のカーチェイスシーンに関連しています。
公開年で考えれば『ブルース・ブラザース』の方が先なので、『オトナ帝国』のカーチェイスシーンはオマージュなのだろうと思います。ほかにも同様の指摘をしていた人がいたので、この説は濃厚な気がしています。
道から外れて土手の斜面を走り抜け、追っ手が土手の斜面に苦戦する様子を実写であれだけのカーチェイスシーンで表現したのは、目を見張るものがありますね。
強盗の罪で刑務所に入っていた兄の”ジョリエット”・ジェイク・ブルース(ジョン・べルーシ)は、イリノイ州のジョリエット刑務所から出所し、弟エルウッド・ブルース(ダン・エイクロイド)が警察の競売で手に入れた元パトカーの1974年式のダッジ・モナコに乗り込みます。
冒頭からすでにこの車はボロボロで、ダッシュボードの上に転がる細々としたゴミも良い味を出しています。そして物語全体を通して、無茶苦茶な走りを見せてくれます。
物語前半のショッピングモールでのカーチェイスシーンも、『I Can't Turn You Loose』の音楽とも相まって疾走感がありました。
カトリック系教会の孤児院で育った2人は、出所の挨拶のためにその教会のもとを訪れ、5000ドルの納税が難しく危機に瀕していると知り、そのお金を工面しようと試みます。
その手立てとして浮上するのが「バンドを再結成」して儲けることで、再結成のために仲間を集める道中で出会う人たちの豪華さたるや。
アレサ・フランクリンやレイ・チャールズなどは聴いたことがあり、作中で彼女らが歌う歌に合わせて聴衆も踊るのがとても楽しそうで、観ていてこちらも楽しくなります。
ジェイクを追い、いかつい武器で襲う謎の女性(キャリー・フィッシャー)、そしてガソリンスタンドで出会う美女(ツイッギー)など、調べれば調べるほど豪華なキャストが集結していたのだと驚きました。
物語の重要局面にさらっと出演しているスティーブン・スピルバーグ監督も観終わってから調べていくうちに知り、あの人かと納得。
兄弟に両脇を抱えられる姿のシュールさは、さすが。印象に残りますね。
そしてこの兄弟の憎めないところは、こうやって警察に追われることになった理由が交通違反がきっかけということですね。
武器を向けられることはあっても、武器は向けないというのも興味深いところです。多少の小細工をして敵対組織を困らせることはありましたが、主に応戦することなく逃げ切る姿勢にはアッパレと言いたい。
そして何が起こっても常に淡々としていて、観ているこちらが拍子抜けするくらいです。
自宅を爆破されて、あの反応で終わるなんてどんな神経してるんだ!
弟のエルウッドが飄々としているのに加えて、兄のジェイクは弟の行動に慌てつつも計画を持ち直したり、バンドメンバーは2人の行動に難色を示しながらも、大きく構えていたり。
こんな凸凹コンビを観てしまったら、次に観る凸凹コンビのハードルが上がりそう…