2000年に週刊少年ジャンプで短期集中連載された鳥山明原作の同名漫画が映画化。
水不足に苦しむ「サンドランド」を舞台に、保安官の人間ラオと悪魔の王子ベルゼブブ、魔物のシーフの3人が水を求めて「幻の泉」探しの旅に出る物語。
『SAND LAND』概要
公開年:2023年8月18日
上映時間:106分
監督:横嶋俊久
原作:鳥山明
あらすじ
魔物も人間も水不足にあえぐ砂漠の世界<サンドランド>。
悪魔の王子・ベルゼブブが、魔物のシーフ、人間の保安官ラオと音妙なトリオを組み
砂漠のどこかにある「幻の泉」を探す旅に出る─。
感想
水不足に苦しむ「サンドランド」を舞台に、人間と魔物が共に「幻の泉」を探しに出るというシンプルな物語でしたが、キャラクター同士の関係の変化や人間のもつ偏見の露呈など、厚みがあって見応えのある作品でした。
初老の保安官ラオは水不足で苦しむ人々のために、「幻の泉」という水源を探す旅に出ます。
しかし泉までの道のりは険しく、ラオは魔物とともに旅に出ようと考え彼らの住む岩場に向かいます。
魔物は水を運ぶ人間を襲ったりと人間と対立する関係でもありましたが、水不足に苦しむ立場は人間と同じため、悪魔の王子ベルゼブブとそのお目付け役のシーフはラオの話に乗り、一緒に旅に出ます。
途中で大きな魔物や盗賊などに襲われながらもラオたちは泉への道を進み続け、その途中で目にする物事によって「サンドランド」自体に徐々に違和感を覚えはじめます。
そしてその違和感の元凶が判明するにつれ、ラオやサンドランドの人間がこれまで信じてきたことが崩れていき、人間のもつ偏見が露わになっていきました。
サンドランドでは過去に何が起こっていたのか、そしてそれが現在のサンドランドにどのように繋がっているのか。
このような疑問や違和感を考えながら見るなかで、人間と魔物という単純な対立だけでなく多層的な問題が絡み合っていることで一筋縄ではいかないサンドランド自体にヤキモキしていきました。
制作秘話に迫るYouTube公式動画を見てみると、物語について渋い題材だと表現されている箇所があり今作を鑑賞した上で考えるならば、それらの部分が今作の渋さに当たるのかなと思いました。
またその他、主要キャラクター以外でも魅力的なキャラクターが多く、それぞれの信念のもとに突き進む姿は爽快でした。
特に「スイマーズ」は今作の中で特に好きなキャラクターたちです。
水泳キャップにゴーグル、海パンという水にまつわる服装で砂漠に佇む姿と、彼らのもつ水に対する熱い思いなどは、今作の中でも特にコメディ的で面白かったです。
スイマーズの中でも「スイマーズ・グッピー」の存在感には圧倒されました。
そしてやっぱり、メカの描写がすごい。
木暮は原作者の鳥山明さんの作品では『ドラゴンボール』や『Dr.スランプ』をアニメで数話観た程度で詳しくはありませんが、鳥山明さんってプラモデル制作でも凄まじい腕前だそうですね。
「鳥山明 プラモデル」でGoogle検索をかけてみたところ、実際に作った戦車のプラモデルの画像が出てきて、そのクオリティに驚きました。
今作に登場する戦車もどの角度から見ても作り込まれており、それがラオたちによって操作されることでより生き生きして見え、映画館のスクリーンで躍動する戦車の描写が凄まじく、しばらく劇中に登場した戦車や車が頭から離れませんでした。
戦車内部の描写も目が離せないところです。
公式パンフレットではラオたちが乗った戦車以外にも、原作には登場しなかった今作オリジナルのメカについての設定資料などもあり、詳しく触れられていたので今作を観てメカの描写に見入った人は公式パンフレットもおすすめしたいです。
そして今作でラオたちが乗った戦車がプラモデル化するそうです。
【2024年2月発売予定!本日以降、順次WEB予約受付開始】
— BANDAI SPIRITS ホビー事業部 (@HobbySite) 2023年8月8日
内部構造の再現、ベルゼブブをはじめとした
同スケールフィギュアも付属した
ハイクオリティの戦車プラモデル
「1/35 #サンドランド 国王軍戦車隊104号車」が登場!
▼商品の詳細情報はこちら!https://t.co/ervbdBi39E#SANDLAND #プラモデル pic.twitter.com/9vU6QF4oUK
プラモデルを作ったのはもう15年以上も前のことで、水転写デカールの扱いがうまくいかないほど不器用なのですが、ひさしぶりにプラモデルを作りたいなとうずうずしてきました。
また、今作のゲームも発売されるそうです。Nintendo Switchでの発売はないのかも…
原作本を読んで
原作は2000年に週刊少年ジャンプで短期集中連載されていました。
木暮は原作未読の状態で映画を鑑賞し、その後原作を読みました。
木暮が購入できたのは『SAND LAND 完全版』だったので、制作秘話やキャラクター設定、連載当時のカラー原稿なども入っていて、とても贅沢な一冊を読むことになりました。
ちなみに前述の通り、鳥山明作品に触れたのはこれまでアニメのみだったので、今作で初めて鳥山明作品を読んだことになります。
砂地の岩場やキャラクターたちの表情豊かな描写などは、アシスタントなしで週刊連載したとは信じられないほどです。
そして何より、紙という平面に描かれているのにキャラクターたちが立体的でまるで生きているかのようで、物語の世界観にのめり込んでいきました。
映画館で観た予告で今作に興味を持って実際に観たことで、これまでほとんど知らなかった鳥山明の世界に触れることになり、他の作品も読みたいと思い始めています。
『Dr.スランプ』も『ドラゴンボール』も本を開けばキャラクターが動き出すんだろうな…
本編冒頭15分期間限定公開
公式から期間限定で本編冒頭15分の映像が公開されました。やはりメカへの評価が高いようですね。