やおら日記

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【邦画】『グッドバイ 〜嘘からはじまる人生喜劇〜』感想

 

『八日目の蝉(2011年)』や『ソロモンの偽証(2015年)』でも知られる成島出監督によって太宰治『グッド・バイ』をベースに描かれた邦画コメディ。

 

 

『グッドバイ 〜嘘からはじまる人生喜劇〜』概要

youtu.be

公開年:2020年2月14日

上映時間:106分

監督:成島出

原作:ケラリーノ・サンドロヴィッチ太宰治『グッド・バイ』より)2015年の舞台

 

あらすじ

戦後の混乱から復興へ向かう昭和のニッポン。闇稼業で小金を稼いでいた文芸誌編集長の田島周二は、優柔不断なくせに、なぜか女にはめっぽうモテる。気づけば何人もの愛人を抱え、ほとほと困っていた。そろそろまっとうに生きようと、愛人たちと別れる決心をしたものの、別れを切り出すのは至難の業。一計を案じた田島は、金にがめつく大食いの担ぎ屋・キヌ子に「嘘(にせ)の妻を演じてくれ」と頼み込む。そう、キヌ子は泥だらけの顔を洗えば誰もが振り返る女だったのだ!男は女と別れるため、女は金のため―。こうして、水と油のような二人による“嘘(にせ)夫婦”の企みが始まった。

(引用)2020年9/2(水) Blu-ray&DVD発売! 映画『グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~』公式サイト

 

感想

太宰治の未完作品『グッド・バイ』を独自の解釈で表現したケラリーノ・サンドロヴィッチによる舞台(2015年)の映画化。

 

田島周二を大泉洋、田島を助ける永井キヌ子を小池栄子が演じています。小池栄子は、舞台版でも同役を演じており、原作にある「カラス声」も見事に再現。

 

 

時代は終戦から3年後の日本。田島は文芸誌の編集長として働くかたわら闇稼業でも稼ぎ、お金に余裕があり複数の愛人を持っていましたが、戦争中に疎開先に預けたままの妻子と再び暮らすために、それまでの愛人との関係を断つことを決意します。

 

しかし田島は優柔不断で精神的に弱いため、自分から正直に事情を説明して別れを告げるということができないため、作家の漆山連行(松重豊)に相談に乗ってもらいました。

 

その際に浮上した案が、「すごい美人をどこかから見つけてきて、女房役として連れて愛人ひとりひとりを歴訪する」というもの。

 

「すごい美人」を探す田島は、ぴったりの人物を闇市で見つけます。その人物がキヌ子でした。

 

キヌ子は午前中は闇市に出入りする担ぎ屋として働き、ときどき、おしゃれをして映画を観に行っていました。

 

以前、闇市でキヌ子と取引をしたことがある田島は、思いきってキヌ子に自分の女房役になってくれないかと頼みます。

 

お金に厳しいキヌ子は金を持っていた田島に報酬交渉をし、引き受けることに。

 

そして最初に訪れたのが花屋の青木保子(緒川たまき)のところでした。

 

彼女は戦争未亡人で自身の稼ぎと、田島からの資金援助で生活していました。

 

キヌ子と田島が店に現れると状況を察した保子は、惜しみながらも田島との別れを受け入れます。

 

田島は保子に紙幣を何枚も渡し、「グッド・バイ」と言って別れを告げます。

 

日を改めて次に別れを告げに行くのは、自身の文芸誌で挿絵を担当していた水原ケイ子(橋本愛)のところで、彼女にはシベリア帰りの兄・健一(皆川猿時)がいます。

 

彼女もキヌ子の存在を目にすると状況を察しましたが、兄の存在を前にして思わぬ展開に。後日、編集部に来たケイ子は言伝で「グッド・バイ」と言い残し、田島のもとを去ります。

 

他にも女医の大櫛加代(水川あさみ)のところにも向かいますが、事態は田島の本当の妻の存在によって大きく変化し、そのことで田島とキヌ子の計画が思わぬ方向に転がることに…

 

田島の優柔不断具合と、それに惚れていた愛人たちとの別れ、それに付き合うキヌ子の掛け合いから目が離せない今作は、前半部分が太宰治『グッド・バイ』に基づいていますが、後半部分は原作にないオリジナルの箇所なので、とても興味深かったです。

 

ケラリーノ・サンドロヴィッチによる舞台は見たことがなく、今回の映画で初めて後半部分を観て「喜劇」という表現が相応しい作品だと思いました。

 

特に作家の漆山連行や、田島とともに働く編集者の清川伸彦(濱田岳)が重要な役割を担っていて、予想だにしていない伏線回収があり、田島とキヌ子の関係にも大きな影響を与えます。

 

その影響からどのように田島とキヌ子が進んでいくのかは、実際に観てほしい部分です。

 

ちなみに、清川は太宰治『グッド・バイ』には登場しない人物で、その他にも映画ならではの新たな人物が登場します。

 

 

「グッドバイ」が悲しい別れとしてではなく描かれているのが、とても印象的な作品でした。

 

 

太宰治『グッド・バイ』も軽快な文章で書かれており読みやすいと思いますので、ぜひ。

 

関連サイト

good-bye-movie.jp

www.shinchosha.co.jp

www.hakusuisha.co.jp