購入した本のアーカイブ計画 ─7月編─
遅くなりましたが、2023年7月に購入した本と読んだ本の感想記事です。
7月に購入した本
出版年月日、出版社は割愛しています。
- 朝井リョウ『スター』
- 伊坂幸太郎『逆ソクラテス』
- 市川沙央『ハンチバック』
- 宇野維正『ハリウッド映画の終焉』
- 小島英俊『旅する漱石と近代交通 鉄道・船・人力車』
- 是枝裕和『映画の生まれる場所で』
- 佐野晶『怪物』(2023年公開の映画『怪物』のノベライズ本)
- 高瀬隼子『犬のかたちをしているもの』
- 本間洋平『家族ゲーム』
- 村上春樹『風の歌を聴け』
- 村上春樹『若い読者のための短編小説案内』
- 村上靖彦『客観性の落とし穴』
- アンデシュ・ハンセン『ストレス脳』
- ウィリアム・H・マクニール『世界史』上下巻
- ヘミングウェイ『老人と海』
- 『Casa BRUTUS 特別編集 ガウディと井上雄彦 新装版』
- 『キネマ旬報 6月上旬号』
- 『キネマ旬報 6月下旬号』
- 『SWITCH 2023年6月号 「怪物」が描くもの』
- 『POPEYE 特別編集 車とシティボーイ』
- 『POPEYE 916 8月号 今日観る映画が決まらないという君へ』
今月は映画『怪物』関連の書籍の購入が多かったです。
映画鑑賞後に各登場人物ごとの視点を再確認したかったこともあって、シナリオブックや小説版を購入しました。
シナリオブックを読んでいくにつれ登場人物の表情などが思い起こされ、2回目の鑑賞時は見え方が変わるんだろうなと思っています。
公開から時間がたっていることもあって都合の良い上映開始時間がなく、2回目を映画館で観るのは難しそうなので、現在は坂元裕二脚本作品を少しずつ観ていこうかと考えているところです。
6月に購入した本の中でも書いたように、書店では夏の文庫本フェアが現在開催されています。
タイトルの意味も含めて気になっての購入。ソクラテスというと「無知の知」で知られていますが、今作は「逆」が付くので…?
これまたまだ読んでいる最中なので、読了後には感想記事を公開したいと考えています。
そのほか、先日発表された第169回芥川賞受賞作の市川沙央『ハンチバック』も購入しました。
こちらも感想記事を公開したいと思っています。(時期未定)
6月あたりからあまり本を読めておらず、積読および乱読が加速する一方で少し恐怖を覚えています。
そして本棚が足りなくなり、また本棚が増えてしまいました…
取捨選択が迫られている気がする…
井上雄彦とアントニ・ガウディ
(右)『特別展 ガウディ×井上雄彦』図録
本の内容
2022年12月に公開の『THE FIRST SLAM DUNK』が大ヒット、名実ともに日本を代表する漫画家・井上雄彦。着工から約140年、未完の教会〈サグラダ・ファミリア〉の建設がついに佳境に入った建築家・アントニ・ガウディ。異なる時代の2つの創造がシンクロした展覧会『特別展 ガウディ×井上雄彦』が2014〜15年にかけて日本各地を巡回しました。
そこで、展示作品の構想を練るべく2014年4月にバルセロナに滞在した井上雄彦と、ガウディが遺した建築の壮大にして深遠なる謎を探求する旅へ。世界遺産である6つの代表作を中心に、その人物像まで辿っていきます。
※本書は2015年3月刊行の『Casa BRUTUS特別編集 ガウディと井上雄彦』に、2023年6月13日より〈東京国立近代美術館〉で開催の『ガウディとサグラダ・ファミリア展』などの記事を追加した新装版です。(引用)Casa BRUTUS特別編集『ガウディと井上雄彦 新装版』発売中! | カーサ ブルータス Casa BRUTUS
井上雄彦というと漫画『SLAM DUNK』や『バガボンド』のイメージが強かったのですが、2014年開催の展覧会『特別展 ガウディ×井上雄彦』を見に行って、彼によるガウディについての漫画などを目にするなかでガウディとの親和性が高まっていきました。
それまではガウディに対しても1882年着工で現在も建築中のスペインの大聖堂「サグラダ・ファミリア」の設計をした建築家というイメージだけでしたが、展覧会を通して他の建築物はもちろん、家具やドアのデザインなど幅広い分野にも携わっていた人物なのだと知り、驚いたのを今でも覚えています。
展覧会ではそれらの展示もあり、そのなかでも椅子はレプリカで販売してほしいと思ったほどです。
展覧会の図録で確認したところ、「カルベート氏執務室肘掛椅子」というものが個人的にはとても印象に残っています。
さて、7月に購入した『Casa BRUTUS 特別編集 ガウディと井上雄彦 新装版』では、その展覧会に至るまでのガウディをめぐる旅の様子が記録されています。
井上雄彦が2014年にスペインを訪れ、1ヶ月という期限付きでカサ・ミラの住居階にアトリエを設けたことや、展覧会に向けた制作段階の様子が多くの写真とともに記されています。
ヨーロッパの建築というと、6月に購入した本の中で紹介したイギリスの建築のようなレンガ造や石造などにみられる直線のイメージでしたが、ガウディの建築はそういったものとはまた違う個性が見られて興味深いです。
曲線的な手すりや窓枠、外壁が独特で、井上雄彦が1ヶ月過ごしたカサ・ミラのアトリエの様子をおさめた写真でもガウディの建築の存在感が強く、スペイン旅行で実際にガウディの建築をこの目で見てみたいという思いが強まりました。
加えて、2014年の展覧会に向けた井上雄彦による創作ノートも特別付録で見ることができ、そこから展覧会に続くイメージを浮かべてひさびさに展覧会図録に目を通したことで、9年ごしにあの展覧会が蘇ってきました。
また、展覧会では目にしなかったガウディデザインの家具も掲載されており、ガウディのイメージに新たな面が加わりました。
2014年の展覧会で木暮は、ガウディが家具のデザインにも携わっていたことに衝撃を受けたので、今回も家具の方に自然と視線が向いていきましたが、この特別特集ではガウディの建築部分について彼自身の言葉とともに迫っていて読み応えがあるので、ガウディが気になっている人はもちろん、井上雄彦作品が好きな人にもおすすめの1冊です。
また、この記事を公開した時点で、『ガウディとサグラダ・ファミリア展』が東京国立近代美術館で開催されているようです。開催についての情報は公式ホームページでご確認ください。木暮は会場が遠く、行けるかわからないのでお近くの方はぜひ!
余談
2014年の展覧会を見た後にふと岡本太郎が思い浮かんだことを思い出しました。両者になにかしらの共通点を見つけたわけではないのですが、備忘録的な意味合いで余談に書きました。