やおら日記

日々のあれこれを なんやかんや書いているナマケモノ日記

齋藤孝『読書する人だけがたどり着ける場所』

はじめに

今回は、2019年に初版発行の齋藤孝『読書をする人だけがたどり着ける場所』です。

この本との出会いは、以前の職場近くの本屋さんで心が荒んでいたときに目に留まった一冊です。ええ、今も心は荒んでいますが何か?

 

その心が荒んでいた時期に購入した本をなぜ、今まで読んでこなかったのかに関しては、「読書と心の余裕」の関係に関して後日記事を書きますのでそちらで詳しく触れたいと思っています。

 

さて、今回取り上げる本はTBSで毎週土曜日の22時から放送している「情報7Days ニュースキャスター」などでもコメンテーターとして出演されている明治大学文学部教授の齋藤孝の著書です。

 

おそらく今後も読書を続ける木暮にとっては、この本のタイトルは初見から惹きつけられ、この本で言う「読書でたどり着ける場所」はどこなのか興味が湧きました。

ということで、今回はこの本について紹介の意味も込めて書かせていただきましたので、どうぞご覧ください。

 

また、木暮のブログでは一貫してネタバレを避けていますので、ネタバレ等を期待していらっしゃる方は、ネタバレ無しでお楽しみください。そして、実際に手にとって読んでいただくきっかけになればと思っています。

 

 

 

 

 

概要

この本では、筆者の考える読書の魅力や読書初心者でも十分参考になる、本の読み方(読書の心得)などを中心に展開されています。

 

木暮自身、読書を始めたのは小学校6年生のあることがきっかけだったのですが、それ以降ずっと本を読むということからは基本的に離れていません。(まあ、ブラック企業にいた頃は精神不安定で離れてしまった時期はあったんですが、それは不可抗力ということで、この場ではカウントしないでおきます。)

しかし、最近では本の読み方自体を不安に感じる場面が多々あり、今回積読の山からこの本に助けを求めたわけです。

 

 

その読書に関する不安について、まずはこの本で強烈に印象に残っている文から紹介させてください。

 

それは、

 

「あなた自身の教養になった3冊を専門以外で教えていただけますか?」

 

という言葉です。

この言葉は、著者が大学の採用試験の場で行う質問だそうです。

 

この文章を読んだとき正直言うと、

とても真剣に自分自身の思い浮かべる3冊を頭の中で探しましたが、専門はおろか専門外の本で「教養になった」本は思い浮かびませんでした…

 

これまで様々な本を読んできたと思っていた木暮ですが、

頭が真っ白になっているなと自覚するくらい、思い浮かばなかったのに驚きと、焦りとで呆然としました。

 

木暮にとって最近の読書に関する不安は、上記のようにこれまでに読んだ本がすんなり思い浮かばない・内容の説明も難しいということです。

 

このブログを読んでくださっているみなさんは、どうでしょうか?

大学や高校で特に学んだ専門分野以外の本で、教養になったと考える本は3冊思い浮かびますか?

 

著者について

今回は、簡単にご紹介させていただきます。

前述しました通り、著者の齋藤孝東京大学法学部卒業後、同大学大学院教育学研究科博士課程を経て、現在は明治大学文学部教授を務めています。

専門は教育学、身体論、コミュニケーション論です。

メディアにも多数出演しているので、ご存知の方も多いと思います。

著書も多数あり、現在木暮の手元にある本は今回紹介する『読書する人だけがたどり着ける場所』と『大人の語彙力大全』の2冊です。

『大人の語彙力大全』はまだ読み終わっていないため、今回は簡単な紹介にさせていただきます。今後記事にすると思いますので、その際は改めてこの記事にリンクさせておきます。

 

ご存知の方は飛ばしてくださって大丈夫です。次項へお進みください。

 

『大人の語彙力大全』KADOKAWA2018年1月13日

※以下この本の紹介として、本の裏表紙の文章を引用させていただきます。

 

英語でも数学でもなく、社会人としてのレベルは語彙力で判断されてしまいます。「この人デキる!」と思われる知性と教養を感じさせる語彙をわかりやすく紹介します。

 

とあるように、この1冊で普段耳にする言葉や、あまり耳にしない言葉など、垣根を超えて紹介されています。

まだ読み終わっていない木暮ですが、パラパラとめくってみたところ、辞書までは細かくなくスキマ時間に少しずつ教養をつけるにはもってこいの文量で語彙の説明をされているので、最近テレワークなどでメールを送る機会が増えたという方でも、息抜きに読んでみて欲しい1冊です。

 

覚えておこうと思った読書法

今回、この本を読むにあたり前述のように「専門外で教養になった本」について本当に考えあぐねました。

 

しかし思い浮かぶのは専門内のものばかり。しかも、具体的にどの部分が教養になったと言えるのか説明が難しい状態で、情けなくなりました。

 

おそらく(というか確実に)、自分の本の読み方が良くなかったのかもしれないと思うようになりました。以前、本を読んでいた時は必ずと言って良いほど、ノートをとっていましたが、働き出してからはノートを取ることが全くありませんでした。

学生時代に読んだ本も、何年も経っているので思い出せないのも仕方ないのかなと思う反面、卒論等であれだけ読み込んだと思っていたのに、今となっては記憶が薄くなっていることに切なささえ感じています。

 

そこで、この記事ではこの本を読んで「目から鱗だ!」と思った読書法の中から特に気になったところやポイントなどを備忘録的に書いていきます。

 

もちろん、今回紹介するもの以外にもたくさんの方法や心得を書かれていますので、今回紹介した読書法で気になったという方は是非、実際に手にとって読んで欲しいです!

 

著者の目と自分の目

では早速、木暮がこの本で特に印象に残っている文を…

 

読書は自分と異なる視点を手に入れるのに役立ちます。意識したいのは「著者の目」になることです。自分と違う見方だなあと思っても、いったんは著者の目になったつもりで本を読む。著者の目で周りを見てみる。

 

この言葉がなぜ印象に残ったかと言うと、それは大学時代の先生の言葉を思い出したからです。

文系の大学を卒業している木暮は、大学時代に本を読むのにとても苦労しました。本を読むこと自体は好きだったのですが、自分の論文につながるものを本の中から見つけ出すことや、本を読んでさらに自分の頭で考えるということが難しかったのです。今でもそのような読み方は苦手だと思っています。

 

さて、その大学の先生とこの文章がなぜ関係するのかですが、

木暮の本の読み方が「マズい」と気づいた大学の先生から個別に面談の場を設けられ、

 

「木暮はまず、著者の視点がどこにあるのかを探すことが大事だ。そしてその視点を見つけることができたら、もう一度読み返して著者の主張したいことに向けての流れを読んでいく。そして、3回目に読むときは著者を批判しながら読んでいく。最低でも同じ本を3回は読むと良い。そして最終的にはその著者のような見方で物事を見れるようになったら物事の見え方が変化するから面白いよ」と言われました。

 

この読み方に関しては賛否両論あると思いますが、木暮自身それまで本を読む際は、著者の意見に賛同するばかりで、「あ〜なるほど〜」といった具合に著者の主張から感じた(考えた)ことを積み上げることがほとんどなく、自分の主張も曖昧になっていくなど、論文を書く上で致命的な読み方をしていました。

 

しかし、この先生の言葉を受けて実践してみたところ、

以前よりは本を読むスピードは遅くなりましたが、論文を書く上での自分の主張につながる部分や、自分の主張とは相反するものを見つけて、議論を深めていくことができました。でも著者のような見方で物事をみる段階には全然達していないんですけど…

 

 

この本の著者は、上記引用の読み方をすることによって、視点が重層的かつ多角的になると述べています。ちなみにこの場合の著者の視点とは、「著者のバックボーン」とでも言えるような、その著者の主張の根底にある考えを指していると考えています。

 

こういった視点は、本を読むこと以外にも必要になることだと考えました。

例えとして1つあげるとするならば、人間関係の中でのコミュニケーション。

1つの問題に対して解決へ向かわせるためには、一筋縄ではいかないこともあるかと思います。

そんな時こそ、視点を多く持っていることで1つのやり方ではなく、複数の解決方法を模索することができるのではないでしょうか。

 

ここで、私が実際に人間関係に関して本で学んだこととして、

「放っておく」ということを紹介します。

ある一定期間コミュニケーションに関する本を、立て続けに読み漁ったことがあったので、その中のどれかの本に書いてあったこと又は、それらの本を総合的に考えたことなのですが(特定次第、本の名前を追記します)、人間関係で煮詰まった際の対処法として無理に今すぐ解決に導かなくても良いということを、ここ何年かは心に止めています。

 

今まで、人間関係で軋轢が生じた時は、何に原因があったのか・自分と相手のどちらに問題の比重があるのかなど、原因究明にとっかかり余計に関係を悪化させ、人間関係を断ち切ることにまで達してしまっていました。

 

もちろん、明らかな誤解などが関係している場合は、早急に原因究明をする必要がありますが、それ以外の場合は時間とタイミングが解決してくれると「放っておく」ことで余裕を持って考えるようになりました。

実際、そのように余裕を持って考えるようになって以降は、トラブルに次ぐトラブルなどはほとんどありませんし、そのような考えに理解を持ってくれる人が自分の周りには増えたような気がします。

 

ただ一方で、相手によっては今すぐこの状況を変えたいと強く思っている場合もあります。その際は、原因究明でも問題の比重でもなく「自分の」悪かったところを相手に伝えるだけにとどめます。そのときに大抵の場合は、相手も相手自身の悪かったと思うところを話してお互いに自分の非を認めることで終わります。

それでも終わらず、明らかに相手に非があるのに理不尽に責め立てられ続ける場合は、その人との距離を取るなど、対処方法にも段階を持つようになりました。

 

人間関係って難しいですよね、ほんと。

 

木暮の例でしたが本の読み方を変えてみるだけでこのような形で、これまでの自分の手札に加えて違う手札が入り、考える幅も心の余裕も増えるのだと思います。

 

また、著者はこの引用部分の読み方に付随してアメリカの文化人類学ルース・ベネディクト菊と刀』を例に、海外から見た日本文化という「視点」の面白さ、視点の深め方にも言及しています。

日本人が見る日本文化とは別に、海外から見た日本文化を知ることで、普段気にも止めていなかったことが、海外からの視点を交えることで厚みを持って見ることができるようです。

こういった「視点」も、自分の視点を増やすことに大いに役立ちそうです。

 

今回の著者の言葉から木暮は前述のような人間関係の考え方を想起し、文章に起こしてみました。

著者が主張するように「著者の目」を持つことで、自分の目を育てるという意味では、海外の著者の視点の例を他の事例に当てはめて考えることも、あながち間違いではないと信じ、自分の体験を交えて書かせていただきました。

わかりにくかったら本当にすみません…

 

 

さいごに

この本を通して、木暮は様々な読書法(読書のコツ)とともに、

様々な本とも出合いました。

 

こういった読書に関する本では、本の紹介が書かれていることがあると思いますが、この本での他の本の紹介文は、まさに「読んでみたい」と思う文章ばかりで次に買って読みたい本のリストが大幅に増えました。

 

ある意味積読が加速しました。

 

これまで知っていた有名な本もこの本の著者、齋藤孝さんの視点を通すことで、

これまで裏表紙のあらすじでしか知らなかった本の中身に触れることができ、興味が沸きました。

 

例としてあげるならば、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』は、これまで難解で途中で挫折しそうだという理由から手に取ったことはありませんでしたが、長い目で見てゆっくりでも良いから読んでみようかなという気持ちに変化しました。

(紹介文に関しては、実際に読んで欲しい!)

カラマーゾフの兄弟』以外にも多数の本が紹介されているので、必見です!

 

さて、今後の読書に関しての道が少し歩きやすくなったところで、

読書する人だけがたどり着ける深みに入っていきたいと思います。

 

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『大人の語彙力大全』を読み進めるぞ!