やおら日記

日々のあれこれを なんやかんや書いているナマケモノ日記

2月に購入した本と読んだ本など

購入した本のアーカイブ計画 ─2月編─

 

2023年2月に購入した本と読んだ本の紹介記事です。

 

 

2月に購入した本

出版年月日、出版社の記載は割愛しています。

 

今月はBOOKOFFに行ったこともあって、古書で流通している本を見つけることができました。

 

水木しげる『よく食べ、よく寝て、よく生きる』は、BOOKOFFで初めて知った本なのでたまにはBOOKOFFに行くのも良いなとしみじみ思いました。

 

水木家の食に関して水木しげるとその家族の会話で迫っていく1冊で、穏やかな気持ちになりました。ゆる〜い感じが良い。

 

高水裕一『物理学者、SF映画にハマる 「時間」と「宇宙」を巡る考察』は、『TENET(2020年)』の時間の逆行に関しても触れていたので、購入決定しました。

 

その他にも『オデッセイ(2015年)』での火星と地球の自転速度の比較から、太陽系の惑星の1日の長さの複雑さにも触れるなど、物理学者の視点で映画に迫っているので、映画を観たときに分からなかった部分に納得がいきました。

 

2月の新刊で購入したのは村上春樹『一人称単数』と『BRUTUS No.979 2023年3月1日号 JAZZ is POP!』でした。

 

BRUTUS No.979 2023年3月1日号 JAZZ is POP!』では、世界各地のジャズの聖地が紹介されていて、海外旅行で行けたら最高だろうなと…

 

日本に住んでいる身としては、まずは東京の会場で生演奏を聴きたい。

 

村上春樹『猫を棄てる 父親について語るとき』

著者:村上春樹、(絵)高妍

出版年月日:(初出)『文藝春秋』2019年6月号、(単行本)2020年4月23日*1

出版社:文藝春秋

 

本の内容

父の記憶、父の体験、そこから受け継いでいくもの。村上文学のルーツ。

ある夏の午後、僕は父と一緒に自転車に乗り、猫を海岸に棄てに行った。家の玄関で先回りした猫に迎えられたときは、二人で呆然とした……。

寺の次男に生まれた父は文学を愛し、家には本が溢れていた。
中国で戦争体験がある父は、毎朝小さな菩薩に向かってお経を唱えていた。
子供のころ、一緒に映画を観に行ったり、甲子園に阪神タイガースの試合を見に行ったりした。

いつからか、父との関係はすっかり疎遠になってしまった――。

村上春樹が、語られることのなかった父の経験を引き継ぎ、たどり、
自らのルーツを初めて綴った、話題の書。

イラストレーションは、台湾出身で『緑の歌₋収集群風₋』が話題の高妍(ガオ イェン)氏。

(引用)文春文庫『猫を棄てる 父親について語るとき』村上春樹 高妍 | 文庫 - 文藝春秋BOOKSより一部抜粋

 

小説家の村上春樹が、自身の父親との関係を振り返った1冊。

 

ある日、海辺の防風林に猫を棄てにいき、帰宅すると棄ててきたはずの猫に玄関で迎えられたという体験は現在でも謎に包まれ、村上春樹自身と父親との関係を振り返る際の重要なポイントになっているようです。

 

父親と村上春樹の直接的な体験以上に、父親がどういう経路を辿って村上春樹自身が存在しているのかをひしひしと感じる一作でした。

 

村上春樹の父親は年代的にも戦争によって人生が変貌してきた世代で、戦争の話は切り離せないものになっています。

 

村上春樹の父親は戦争について直接的に多くは語りませんでしたが、戦時中に起こった忘れられない出来事を語ったことがありました。

 

ある種のトラウマともとれるその体験話を聞いた村上春樹は、息子である自分にその体験を部分的に継承したのだと受け止めています。

 

人の心のつながりというのはそういうものだし、また歴史というのもそういうものなのだ。その本質は<引き継ぎ>という行為、あるいは儀式の中にある。その内容がどのように不快な、目を背けたくなるようなことであれ、人はそれを自らの一部として引き受けなくてはならない。もしそうでなければ、歴史というものの意味がどこにあるだろう?

(引用)村上春樹『猫を棄てる 父親について語るとき』(文春文庫)pp.62-63

 

木暮からみて曽祖父が唯一、戦争に関わった人で今でもふとしたときに祖父(90歳)からその話を聞かされます。

 

出征していた現地から家族宛に書いた手紙が現在も残っており、祖父にとってその手紙が曽祖父の思い出の物になっているようです。

 

その古びた手紙の便箋に「節約は弾丸なり」などと印刷されていたりするのを実際に手にとってみていると、戦争が遠いものではないように思い知らされます。曽祖父が自分の子供たちの健康を気遣っている手紙でも、そういう印刷があると穏やかな気持ちでは読んでいられない…

 

祖父の記憶だとそのとき同じ隊にいた人が終戦後も、日本の各地から訪ねてきていたそうです。

 

木暮は曽祖父に会ったことはありませんが、曽祖父を知る人や祖父自身からは何度も聞かされているので、身近な存在になっています。

 

戦争に限ったことではなく、人から人へと継承されていく記憶は無数にあると思います。

 

それらの記憶の流れが歴史になっているのだと、この本を読んでいて改めて気付かされました。

 

 

 

2月に読んだ本の感想記事

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*1:今回の記事では文庫版をもとにしています。(文庫)2022年11月10日