やおら日記

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【邦画】『犬神家の一族(1976年)』感想

 

1976年公開の市川崑監督による映画『犬神家の一族』。

 

信州那須市という架空の町を舞台に、信州財界の製薬王・犬神左兵衛の遺言から一族に起こる事件の謎を金田一耕助が迫っていく。

 

 

犬神家の一族』概要


www.youtube.com

公開年:1976年11月13日(日比谷映画劇場にて1976年10月16日先行公開)

上映時間:146分

監督:市川崑

原作:横溝正史

 

あらすじ

名探偵・金田一耕助 登場角川映画、記念すべき第一回作品日本の製薬王、犬神佐兵衛が残した謎の遺言状。犬神財閥の巨額の遺産を巡って、血塗られた連続殺人が起こる。犬神家の家宝である 斧(ヨキ)・琴(コト)・菊(キク)に隠された秘密とは?名探偵・金田一耕助が解き明かす血の系譜、そして意外な真相とは!?ミステリー界の巨匠・横溝正史の世界を映像化した最高傑作。

(引用)犬神家の一族 角川映画 THE BEST:映画・アニメ|KADOKAWA

 

感想

YouTubeチャンネル「角川シネマコレクション」にて1976年版の『犬神家の一族』が2週間限定で公開されていたので、先日念願の初鑑賞をしました。

 

2006年版を途中まで観たような記憶が少しありますが内容については覚えていなかったので、ほぼ初見での鑑賞になりました。

 

 

物語は昭和20年代の信州那須市という架空の町を舞台に、名探偵の金田一耕助石坂浩二)が信州財界の製薬王である犬神佐兵衛(三國連太郎)が残した遺言書と一族にふりかかる事件の謎に迫っていくというものでした。

 

湖に面した犬神家の屋敷には遺言書の内容を知るために、佐兵衛翁の娘である松子(高峰三枝子)、竹子(三条美紀)、梅子(草笛光子)とそれぞれの夫と子供たちに加え、野々宮珠世(島田陽子)という佐兵衛翁の恩人の孫が集まっていました。

 

戦争からの帰還が知らされた松子の息子・佐清あおい輝彦)を待ち、やっと一族全員が集まり犬神家の顧問弁護士の古舘恭三(小沢栄太郎)によって遺言書の開封が行われることに。

 

遺言書の開封前に古舘法律事務所の若林豊一郎(西尾啓)が何者かによって殺害されたことで、代打として遺言書開封の場に金田一が同席することになり、遺言書の中身を知ることになります。

 

 

犬神家の面々が固唾を飲んで見守るなか発表されたその内容は、犬神家の家宝である「斧、琴、菊」が条件付きで珠世に譲られるというもので、一族にとって予想だにしなかった内容だったため、松子をはじめ一族の皆が取り乱してしまいました。

 

 

なぜ、一族の者ではなく珠世に裁量権があるのか。

 

この疑問は犬神家の人々と同じく、木暮も強く疑問に思う点でした。

 

 

遺言の内容の一部を見ていくと、珠世が遺産を受け取る条件に佐清、佐武(地井武男)、佐智(川口恒)の3人のうちの誰かと結婚するというものがありました。

 

その条件を踏まえて松子、竹子、梅子の3人は遺産を受け取るために自分の息子と珠世を結婚させようと考えはじめます。

 

その結果、戦争から復員した佐清が本当に佐清なのかという疑問も浮上し始めます。

 

戦争によって顔に大怪我を負った佐清は白いゴムマスクによって素顔が隠され言葉も少なく、ゴムマスクの中にいるのは佐清ではないのではという疑念を持った竹子、梅子とその息子たちはゴムマスクの正体を暴こうとしました。

 

もしゴムマスクの中が佐清でなければ佐武や佐智の遺産相続が有利に動くということもあって、指紋鑑定などを用いて佐清の存在を明らかにしようとします。

 

一方その頃、那須町では復員服姿の男・山田三平が柏屋旅館に宿泊したという情報も入り、佐清の正体や遺言書にあった犬神家の家宝「斧、琴、菊」にまつわる事件など、複数の謎が折り重なり、金田一はそれぞれの謎から1人の人物に焦点を当てていき、事件の真相に迫っていきました。

 

 

今回、原作も未読の状態で鑑賞したことで、「なるほど、こういう話だったのか」というのが率直な感想でした。

 

思っていたよりも登場人物が多く関係も入り組んでいたので、その人物がどんな立場なのかについては特に注意深く観ていかないといけない部分でした。

 

遺産相続は一般的にも揉めがちとは思っていても、犬神家の場合は規模が大きく中身も惨たらしいものでした。

 

佐兵衛翁があまりにも破天荒な人間だったこともあって家族の関係も複雑で、「家族」という色が薄くも感じました。

 

とはいえ松子、竹子、梅子は自分の家族への執着が強いと感じる部分もあったりと、また違う家族の形があったのではないかとも思いました。

 

内容はさておき、この異母姉妹は協力することもあったので…

 

また、映画を観終わってからも複数の疑問は残ったままです。

 

佐兵衛翁がなぜそこまで珠世と孫たちを結婚させたがったのかが特に疑問を持った部分です。ここについては、観た人それぞれに解釈ができるところでもあるかもしれません。

 

佐兵衛翁については、一代で凄まじい財を成したという点においては並大抵の人ではないのだとは思いますが、それ以外の面がなかなか特殊というか何というか…

 

生い立ちを含めて考えたとしてもあまり良いイメージは持てませんでした。

 

また物語全体をとおして考えると、佐兵衛翁が始めてしまった因果が孫の代まで影響しているというのは、一族に対してとても気の毒に感じる部分でした。

 

加えて個人的には竹子の娘・小夜子(川口晶)が特に不憫すぎて…

 

小夜子の扱い、原作ではどうなっているのでしょうか…

 

今回の映画と同じなのでしょうか。

 

小夜子が原作でどんな扱いを受けているのかも気になり始めました。

 

そして、2006年版の『犬神家の一族』にも今作で梅子を演じた草笛光子さんが出演しているそうなので、機会があれば2006年版にも再挑戦したいなと思っています。

 

関連サイト

www.kadokawa.co.jp