やおら日記

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【洋画】『すべてをあなたに(1996年)』感想

 

トム・ハンクス監督・脚本・出演の1996年公開の映画。

 

一躍人気になっていくバンドの若者たちの姿を描き、劇中歌もとても印象的な作品です。

 

 

すべてをあなたに』概要


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公開年:(米)1996年10月4日、(日)1997年2月15日

上映時間:108分、ディレクターズ・カット版は148分

監督:トム・ハンクス

 

あらすじ

1964年、ペンシルバニア州の小さな町、エリー。陸軍を除隊したガイは、ジャズが好きでドラムを叩いている時が幸せだった。ある時、仲の良いバンドのメンバーからケガをしたドラマーの代役を頼まれ、州立大学のコンテストに出場し、優勝する。バンドは町のライヴハウスでも演奏し、人気者に。自信をつけたバンドはレコードを自主製作するが、それも好評で、レコード会社のミスター・ホワイトに見込まれる。プロ・デビューしたバンドは、レコードもヒットチャートをにぎわすようになる。全国的な人気者になったバンドだったが……。

(引用)すべてをあなたにの作品情報・あらすじ・キャスト - ぴあ映画より一部抜粋して引用

 

感想

今作を初めて鑑賞したのは中学時代の英語の授業でした。

 

映画『スタンド・バイ・ミー』の感想記事でも少し書きましたが、木暮が通っていた中学校の英語教科では定期テストが終わってテストの答案用紙が返却されたあとに洋画を観る流れになっていました。今作もその一環で初めて観た映画でした。

 

前回の記事でも今作を代表する劇中歌『That Thing You Do!』について書きましたが、現在ディレクターズ・カット版(148分)を鑑賞する方法が限られており、今回の記事ではAmazon prime videoでレンタルした108分版の感想になります。

 

中学の授業で観たときもたしか108分版だったと思います。

 

148分のディレクターズ・カット版を観てみたいので、配信か販売してほしいんですけど…20世紀フォックスさん…なんとか…

 

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さて、物語は1964年のアメリカということで、東京オリンピックがあった年のお話です。

 

主人公のガイ・パターソン(トム・エヴェレット・スコット)はペンシルベニア州のエリーという町で父親が経営する家電量販店の手伝いをし、閉店後には好きなジャズミュージックをかけてドラムを叩くという生活を送っていました。

 

あるとき、大学のコンテストに出るという友人のレニー(スティーヴ・ザーン)とジミー(ジョナサン・シェック)に、怪我をしたドラマーの代わりにコンテストに出て欲しいと言われ、ジミーとレニー、ベースプレイヤー(イーサン・エンブリー)とともにコンテストに出場します。

 

そのときに演奏した曲がバンドオリジナル曲の『That Thing You Do!』でした。

 

ザ・ワンダース」はコンテストで予想以上の反響を受け、その結果空港近くのレストランでも出演料有りで出演するほどの一躍人気のバンドになっていきます。

 

レコードも販売し、それに目をつけた業界関係者からも声をかけられ、全米でのヒットチャートインするほどの人気上昇しつつも、バンドメンバーそれぞれが揺らいでいく…というシンプルな物語。

 

ネタバレが怖いので物語については、ここでとどめておこうと思います。

 

 

 

ストーリーはシンプルですが、登場人物の関係の変化などは物語序盤から伏線に近いものが張られていて、後半にかけての登場人物の感情の変化に必然性がありました。

 

登場人物の何気ない会話だったり、視線の行先だったりが後半にかけて活きてくるので、コメディジャンルな上に抜かりない作品だと思います。

 

そのため、鑑賞していると自分も”バンド活動を近くで見ていた人”的な目線で観ることになり、シーンごとに一喜一憂していました。

 

 

それくらい登場人物やその関係が丁寧に描かれていました。

 

 

舞台に立って演奏するバンドメンバー以外にも、重要な人物がいます。

 

ジミーの恋人フェイ(リヴ・タイラー)は、ガイが加わる前からバンドに寄り添い、バンドの人気に火がついたときに大喜びをする姿は健気でとても愛らしい存在です。

 

また、ガイの恋人のティナ(シャーリーズ・セロン)も、会話は少ないですが音楽に対する考えが態度や表情などから見て取れ、その展開も含めた2人の関係はコメディ的で笑ってしまいました。

 

特にティナが髪の手入れをしながらガイと電話するシーンは、その中でも印象的なシーンです。

 

加えて、今作で忘れてはならないのがトム・ハンクス演じるミスター・ホワイトですね。

 

彼によってバンドの活躍が成されていったわけですけど、バンドのマネジメントとして冷静で優秀な人材であることがよくわかります。

 

だからこそ鑑賞している身としては、後半の彼とガイとの会話が悔しく感じましたし、それと同時にビジネスマンとしての現実的でドライな印象も受けました。

 

今作を観た人には伝わるとは思いますが、ホワイトは某鱗滝さんも認めるほどの「判断が早い」人物ではないでしょうか。伝わりにくいかもしれない…

 

まあでも、現実的にはそういう判断が続いてこそ成り立つものもありますからね…

 

ドライとか云々ではない次元の話かもしれません。

 

今作でのトム・ハンクスの冷めた視線は、コメディとシリアスのバランスを保つ重要な役割を担っていると思います。

 

 

そのほか、バンド活動の最中で出会う人たちも厚みがあって印象的な人たちばかりが登場します。

 

トム・ハンクスの実の妻や息子も登場しますが、木暮的にはホテルマンのラマールが良い味を出していると思います。

 

バンドの滞在先のホテルの従業員ラマールは、従業員として自分の仕事をこなすうちに間接的にガイやフェイのことを助けているという、ホワイトと同等くらいに重要な人物だと思いますので、今作をまだ観ていない人にはぜひラマール目当てで観てほしいくらいです。

 

 

中学時代に授業で鑑賞したときも、教室中で「ラマール〜!!」っていう声が出るくらいでしたからね…

 

 

本当にディレクターズ・カット版を観てみたいですよ…

 

DVD再販は難しくても配信してほしいな。

 


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余談

主人公のガイ役を演じたトム・エヴェレット・スコットは2016年公開の映画『ラ・ラ・ランド』でミアの夫を演じています。