ちょっと不器用なアメリの話
パリ・モンマルトルを舞台に、空想好きの不思議な女性アメリの日常と恋を描くジャン=ピエール・ジュネ監督による2001年の作品。
フランスが舞台ということで、色彩豊かな街並みとアメリの空想の世界が美しい作品です。
『アメリ』概要
公開年:(仏)2001年4月25日、(日)2001年11月17日
上映時間:122分
監督:ジャン=ピエール・ジュネ
あらすじ
子供の頃から空想好きだったアメリ・プーラン。ある日、アメリはバスルームの壁の中から40年前その部屋の住人だった少年の宝箱を見つける。それをアメリは奇跡が起こったかのような悪戯を仕掛けて、持ち主へ返す。そしてその男の人生を優しく希望に満ちたものに変えるのだった。それはアメリにとっても人生の目的を発見した事件となった。彼女は、まわりの誰かを今より少しだけ幸せにすることを生き甲斐にするのだった。それ以来、順調に“幸せの悪戯”を続けてゆく。自分のことはさておき、カフェの同僚や父親への悪戯に夢中になるアメリ。しかし、スピード写真コレクターの不思議な青年ニノと出会い、彼のとろけるような優しい笑顔にすっかり恋してしまう。果してアメリは自分の幸せを見つけることができるのか?
感想
フランスのパリ・モンマルトルを舞台にアメリ(オドレイ・トトゥ)の日常が描かれる作品。
独特な世界観を持つ両親の間に生まれたアメリは、両親との身体的接触がほとんどなく、その唯一の接触であった元軍医の父親による健診で、心臓に病があると勘違いされたがために、学校に通わずに同年代の子どもとの関わりを持つことがないまま、大人になりました。
大人になったアメリは実家を出て、カフェの店員として自立。
そんな生活の中で自分が住むアパートの一室の壁から、ずいぶん前に隠されたような宝箱が見つかり、持ち主に返そうとするところから物語は進み始めます。
奇跡のようなイタズラで、その宝箱を持ち主に返し、
妻を亡くし塞ぎ込んでいたアメリの父親が大切にしていたノームの置物を内緒で世界旅行させ、
意地悪な人には意地悪なイタズラをし、
不倫相手と駆け落ちした夫を思い続ける女性には、夫からの手紙を捏造して幸せな気分にさせ、
カフェの同僚と常連客の恋のキューピッドになったり…
周囲の人をどんどん明るく幸せにしていくアメリは*1、自分が幸せになる道を見つけられずにいました。
そんなとき、駅の証明写真機の下を漁る男性ニノ・カンカンポワ(マチュー・カソヴィッツ)と出会い、徐々に彼が気になっていったアメリは彼の落とし物を届けることで、距離を縮めようと奮闘していきます。
多くの遠回りをするアメリは、ニノとの直接的な接点を持てないまま右往左往し、自身と同じアパートに住む老人レイモン・デュファイエル(セルジュ・メルラン)からアドバイスととれる言葉を受け取っても、どうしても前に進めずにいました。
そんなとき、アメリお得意の空想が発動し、その中で登場する言葉がとても印象的でした。
人間には人生に失敗する権利がある
内気なまま暮らすのか、ストレートに彼と関わるのかに悩むアメリ。
失敗するかもしれないし、失敗しないかもしれない。
そういう場面では、どうしても失敗する方が大きく見えがちですが、失敗も人生の醍醐味だと思えば前に進めそうな気もしますよね。
アメリはその後も悩み続けますが、レイモンのとある行動によりニノとの関係が一気に進んでいくことになります。
幼少期の経験から他人との関わりがわからないというアメリですが、実際にはカフェでも同僚や常連客とのコミュニケーション、アパートの住人との関わりなど、思っていたよりも周囲の人間との関係を築いている印象でした。
おそらく、個人的に深い関係を持つことができないということなんだろうと思います。
でも、これって結構多くの人に当てはまるのではないでしょうか。
アメリほど空想の世界に生きていなくても、他人と深く関わることが難しいときだって誰にでもありそうですし、アメリのように人間関係に右往左往した経験が少なからずある人なら共感できる物語だと思います。
作中に登場する老人レイモンが描いている絵画も、アメリの心情を写しているようで、その絵画を通じて彼女が自分の心と向き合う描写がとても美しかったですし、公開から20年以上たっても多くのところでこの映画について目にするのも納得の作品でした。
今のご時世的に、他人との積極的な関わりが減っていきがちですが、ちょっと前に進めば誰かとの関わりが待っているのだと、背中を押してくれる映画でした。
関連サイト
関連記事
*1:カフェの同僚と常連客の恋は明るいかはわかりませんが…