今週のお題「メモ」
今回は「メモ」にまつわる大学時代のアルバイトの思い出話です。
大学時代、複数掛け持ちしていた中でも最も長く続けた喫茶店のアルバイト。
今でも大学周辺に行くことがあれば、必ず立ち寄るくらいの思い出があります。
木暮は大学1年生のときに初めてアルバイトを経験し、恥ずかしい限りですが物覚えが悪く、要領も悪かったので店長をはじめ、他のアルバイトの人にもとても助けられていました(多大なる迷惑をかけていました)。
同い年でほぼ同じ時期に入った人はサクサク注文をとって、厨房に注文を通して、その合間に備品の補充をこなしたり、一連の動作に無駄な動きがなく、シフトのたびになんとか周りに追いつこうと必死でした。
ただ、接客業が初めてということで、お客さんを不安な気持ちにさせてしまったこともあって、慣れるまではお客さんから怒られることもあったり、けちょんけちょんになっていました。
そのため、自分には向いていないのかもしれないと真剣に悩み、半ば辞める意思をかためて店長に相談しました。
アルバイトを初めて1ヶ月くらいで弱音を吐いた木暮に対して店長は「なら、辞めてもいいよ」とは言わずに、「メモをとってるでしょ?」「厨房に●●の注文を通すときはどうする?」というように、とても申し訳なく思うほど木暮に時間を割いてくれました。
そして…
「ちょっとメモを見せて」
と言われて恐る恐るメモを渡すと、
「これだけちゃんとメモをとってるんだから、大丈夫だよ。今もちゃんと答えられたし、お客さんのペースに合わせるより慣れるまでは自分のペースで正しくやってくれればいいよ。慣れないうちはお客さんに怒られるのは当たり前だよ」
と、優しく諭してくれ、危うく泣くところでした。
それまではシフトに入るのが本当に怖かったのですが、その面談からはメモがお守り代わりになって、少しずつ自信をもってシフトに入ることができるようになりました。
大学卒業を機にそのアルバイトも辞め、送別会のときに店長からは「最初はどうなることやらと思ったけど、どんどん成長していってよかった。RPGをやっている気分だった」と言われたのは、本当に良い思い出です。
アルバイトでは理不尽なことも多々ありましたし、そこで知り合った友人とも共通の辛かったバイトエピソードもありますが、あのとき辞めていたらその店長や周囲の人との関わりがなかったのだと思うと、あのメモは本当にお守りになっていたのかもしれないと思います。
この出来事を別の友人に話すと「運がよかった」と言われますが、本当にその通りだと思います。
自分が社会人として働くようになって、後輩の指導を行うときに強く感じましたが、他人を指導するのって本当に難しいんですよね。
ましてやアルバイトなら連絡なしに来なくなることだってありますし、ギブアンドテイクで考えてしまうと、特に上に立っている人にとっては割に合わないことだらけだと思います。
アルバイトに「辞めたい」って言われたら、すんなり辞めさせることだってできるのに、わざわざ時間を割いてくれて指導してくれたのは、本当にありがたいことでしたし、奇跡だったと思います。
話はズレますが、メモをまともにとってなかったらあの時の面談でそのままバイバイコースだった可能性もゼロではなかったのかもしれないと思うと、人との関わりって様々なことが重なってできているんだなとも思います。
社会人になってからもメモは徹底的にとり、意気消沈したときはそのメモを見返して気合いを入れ直していました。
業務を覚えるという実用面のほかに、気合を入れ直す意味も込めて精神面でもメモは欠かせないと思った思い出話でした。