七つの大罪と七日間
『ファイト・クラブ(1999年)』『ゴーン・ガール(2014年)』といった作品でも知られるデヴィッド・フィンチャー監督によるサスペンス映画。
グロテスクな描写と胸糞映画として認知していたため、観るのを先延ばしにしていましたが、意を決して観てみました。
事前知識として知っていたグロテスクな描写と胸糞感は思ったより感じなかったので、そこは少し拍子抜けした感じがあります。身構え過ぎたのかもしれません。
考察ではなく感想記事のため、ネタバレは最小限だと思います。
『セブン(1995年)』概要
公開年:(米)1995年9月22日、(日)1996年1月27日
上映時間:127分
監督:デヴィッド・フィンチャー
あらすじ
2人の刑事(ブラッド・ピット、モーガン・フリーマン)が追うのは、怜悧な頭脳を持つしたたかな連続殺人鬼。男は七つの大罪のいずれかに該当する者を狙い、おぞましい殺人を繰り返していた。苦痛と絶望が蔓延した、雨のそぼ降る陰鬱な街を舞台に展開される傑作スリラーに、グウィネス・パルトロウも共演。恐怖の本質を知り抜いたデビッド・フィンチャー(『ファイト・クラブ』、『ゾディアック』、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』)が放つ、肉体と精神と魂のアクション。そして最後には観る者の心を食い破る、驚愕のクライマックスが待つ。
感想
雨の描写によって街の雰囲気も登場人物の心情も、暗く重い雰囲気が漂う物語の冒頭。
退職まで1週間の刑事ウィリアム・サマセット(モーガン・フリーマン)と、新たに街にやってきた刑事デビッド・ミルズ(ブラッド・ピット)は、最初の被害者の事件現場で出会い、その後一連の事件を追うことになります。
最初に犠牲になった肥満男性の事件現場に残されたメッセージからサマセットは、犯人がキリスト教の「七つの大罪」をもとにしていると判断し、その後の事件でも同様のメッセージが残されていることからも、その説は濃厚に。
- GLUTTONY(暴食)
- GREED(強欲)
- SLOTH(怠惰)
- LUST(肉欲)
- PRIDE(高慢)
- ENVY(嫉妬)
- WRATH(憤怒)
これらの7つのキーワードをもとに事件はどんどん進んでいきます。世代的にハガレンを思い出しました。
前述の通り、サマセットに残された刑事としての残り日数も7日間。
そしてキリスト教の天地創造も7日間なので、7という数字に多くの意味が込められているのも、今作を観ていく中で気になる部分でもありました。
舞台となっている大都市では犯罪が横行し、それに長年向き合ってきたサマセットと新たに街にやってきたミルズとの間で、悪に対するお互いの姿勢を確認し合うかのような会話があります。
この会話からも一連の事件の重要人物であるジョン・ドゥの思想と、事件を通して何を実現したかったのかを考えることになりました。
サマセットとミルズの会話以外でも登場人物が発する言葉ひとつひとつさえもが、事件を追っていくなかで徐々に集約され、ラストシーンへと繋がっていく様子はまさに圧巻でした。
また、同監督の『ファイト・クラブ(1999年)』でも用いられていたサブリミナルの技法が映る場面は、「ここできたかー!」と思わず叫ぶほど。
しかし、「七つの大罪」のうちの「嫉妬」に関しては、いまいち飲み込めていない部分でもあります。
別の人物が嫉妬を抱くのなら納得がいくのですが…
とある人物と嫉妬があまり結び付かなくてですね…
あと、『セブン』というタイトルで、七つの大罪がモチーフになっているのはもちろんなのですが、劇中での登場人物のことなどを考えると数が合わない気がするんです…
9つあるような…
これは変な方向に考え過ぎているのかもしれません。
木暮はまだまだこの作品を味わい尽くせていないと思うので、今後何度か鑑賞していく中で、上の疑問も飲み込めていけそうな気がします。
関連サイト
関連記事(2023年5月11日追記)
デヴィッド・フィンチャー監督による映画『ソーシャル・ネットワーク』の感想記事です。