『ちびまる子ちゃん』や『コジコジ』等でしられる、漫画家さくらももこのエッセイ本。
抱腹絶倒しながら読んだ、感想記事です。
『もものかんづめ』概要
著者:さくらももこ
出版年月日:1991年3月25日*1
出版社:集英社
本の内容
短大時代に体験した、存在意味不明な食品売り場でのアルバイト。たった2ヶ月間のOL時代に遭遇した恐怖の歓迎会。さくらももこの原点を語る大ベストセラーの文庫化!(対談・土屋賢二)
感想
この本を読み、人生で何度あるかわからない抱腹絶倒を経験しました。
腹筋が痙攣してるんじゃないかと思うくらいだったので、最近爆笑してないな〜という人にはおすすめのエッセイです。
木暮は会社員時代の通勤電車で読みたかった。ただし、声をあげて笑うことになるので電車で読むには酷かもしれないけど。
内容は、さくらももこが経験したことをエッセイで17編と、巻末に哲学者土屋賢二との対談があります。
独自に水虫の民間療法を模索し続けた『奇跡の水虫治療』
眠りながら単語などを暗記できるという「睡眠学習枕」によって明け方に起こった出来事を記した『明け方のつぶやき』
アニメとは違い、意地悪だった祖父友蔵の死に顔の面白さに家族で爆笑した『メルヘン爺』
盲腸による痛みの中でふと現れた水前寺清子とその後の盲腸治療を振り返る『サルになった日』
OL時代に自身がその会社でどのような役割を担っていたのかを振り返る『宴会用の女』
友人や知人から聞いたウソかホントかわからない話や、自身が経験した出来事を7つにわたって紹介している『意図のない話』
各エッセイのその後に迫る『その後の話』
これらの他にも自身の結婚をめぐって父ヒロシの新たな面を見た話もあり、アニメを見たことがある人なら、容易に情景が想像できる話ばかりで軽快な文章です。
中でも、『意図のない話』は自身や友人、知人が経験したウソかホントかわからない話が7エピソード紹介ており、その当時、全く意図がわからなかったけれど後々、あれがターニングポイントだったのだと気づいたエピソードが後を引く面白さでした。
「青山のカフェ」と題されたエピソードは、さくらももこが霧雨の降る青山にあったカフェで別れ話をしていたときのお話です。
別れ話ということで、さくらももこと彼は深刻なムードになっていたのも束の間、隣のテーブルの男性が同テーブルの人にキッパリと「わざわざ他人に報告することじゃないだろう」*2と思うことを言ったことで、雰囲気がぶち壊しに。
その後も同じ男性が雰囲気ぶちこわしになることを”キッパリ”言うもんだから、別れ話が雲散霧消したというこのエピソード。
これについてさくらももこは、こう締めくくっています。
今思えばあの時のあの男は、私たちの人生の中で重要なポイントを占める役割を果たしていたのである。
物事の渦中では意図がわからなかった事も、人生を通してみると何らかの意図があるのかもしれない。
たとえそれがどう考えてもわからなかったとしても、わからないということがわかった事実だけは勉強になるものである。
そんな誰とも知らない人間に、人生の重要なポイントを左右されてしまうなんて…
と思いましたが、もしかしたら木暮も気づかないうちにそういうところで左右されているのかもしれないと思うと、いつ自分がそのことに気づくのか楽しみに思えました。
とはいえ、他の6エピソードも本当に奇天烈だったので、あれらの話が何かに繋がるとしたらどんな繋がりになるのだろうと、その後がとても気になりました。
また、不謹慎かもしれませんが『メルヘン爺』も爆笑必至でした。
他のエピソードも日常の一コマが奇想天外に書かれており、本を読んでこんなに爆笑したのは久しぶりだったので、他のエッセイも気になるところです。
関連サイト
▼『ちびまる子ちゃん』のまる子役を演じているTARAKOさんの声で朗読が聴けます。オーディオブック加入している人はぜひ。