やおら日記

日々のあれこれを なんやかんや書いているナマケモノ日記

【洋画】『イーグル・ジャンプ』感想

 

1988年カナダ・カルガリー五輪にイギリス唯一のスキージャンプ代表選手として出場したマイケル・エディ・エドワーズの実話をもとにした映画。

 

 

『イーグル・ジャンプ』概要


www.youtube.com

公開年:(米)2016年1月26日*1、2016年2月26日、(英)2016年3月28日、(日)劇場未公開

上映時間:105分

監督:デクスター・フレッチャ

 

主な登場人物

マイケル・エディ・エドワーズタロン・エジャトン):主人公

ブロンソン・ピアリーヒュー・ジャックマン):元天才スキージャンパー

 

あらすじ

マイケル・エディ・エドワーズは近眼で運動音痴だが、幼いころからオリンピックに憧れ、本気でオリンピック選手を目指していた。ある日、偶然目にしたスキージャンプに心惹かれ、国の代表選手になろうとドイツの雪山に向かう。そこで元オリンピック代表の天才スキージャンパーで、今は飲んだくれでスキー場の整備係をしているブロンソン・ピアリーと出会う。当初は、才能のないエディに興味を示さなかったピアリーだったが、大怪我をしてもなお挑戦し続けるエディに心を動かされ、ついに彼のコーチをすることに…。素人スキージャンパーと落ちぶれた元一流選手のコーチ、負け犬二人の無謀な挑戦が始まった――!

(引用)イーグル・ジャンプ | 20th Century Studios JPより一部抜粋

 

感想

なんで日本では劇場未公開なんだよ!!*2  と言いたくなった今作。

 

スキージャンプの滑走シーンが選手目線でたっぷり観せられたので、劇場で観たらもっと没入できただろうという思いで語気が強くなりました。

 

 

 

イギリス史上初のスキージャンプ五輪代表選手のマイケル・エディ・エドワーズの半生に迫る今作。

 

素人スキージャンパーと、落ちぶれてしまった元天才スキージャンパーとの五輪への挑戦と聞くと、ありきたりな成長物語に聞こえますが実話と言うのだから侮れません。

 

 

幼い頃のエディは膝の治療で1年間入院をし、運動は無理と言われていました。その後読書を始め、初めて読んだ本の影響で五輪への憧れを抱くことになります。

 

 

自分にも「栄光の瞬間」が欲しい、自分にもできると証明したい、という思いからさまざまなことに挑戦しますが、運動はあまり得意ではなく夏期五輪種目も、冬季五輪種目のスキー滑降も、何をやっても五輪への道には程遠い状況でした。

 

 

一度は五輪への道を諦めて父親の行う左官業に専念しようと考えますが、1929年以来イギリス国内にスキージャンプの選手がいないと知ったエディは、スキージャンプのイギリス代表選手を目指し、ドイツのガルミッシュ強化合宿所に向かいます。

 

コーチもおらず、22歳にして初めてスキージャンプを行うエディは、同合宿所で練習をしていたチームのコーチに掛け合いますが、ノルウェーではみんな6歳の頃にはスキージャンプを始めている」「遅すぎる」と言われ、取り合ってもらえません。

 

 

素人目にもスキージャンプの大会を見ていると、出場選手はとんでもない高さから飛んでいて下手したら怪我どころでは済まないだろうと思うくらいなので、それまで経験がないエディが何の教えもなく飛ぶのは、正直言って自殺行為でしょう。

 

実際、着地がうまくいかず怪我をするなどの痛手を負うことになり、エディは合宿所の整備をしていた元天才スキージャンパーのブロンソン・ピアリーに直談判し指導を仰ぎ続けます。

 

 

なかなか首を縦に振らないピアリーに対してもエディは決して諦めず、時には大怪我をしながらもスキージャンプに向き合い続け、その姿に感化されたピアリーは着地の仕方から指導を始めました。

 

 

苦戦しながらも二人三脚でスキージャンプに向き合いますが、方々から結構な妨害に遭います。

 

 

五輪出場権がかかる大会で記録を残して出場資格を得たかと思えば、イギリス五輪協会で出場の条件となる標準記録が急遽変更されたり、そのほかにも壁というか妨害に近いことをされます。

 

それでもエディは何があっても、決してスキージャンプから離れることはありませんでした。

 

 

本当に諦めないってこういうことなんだと。

 

 

出場を果たしたカルガリー五輪の舞台でも、一波乱を起こしながらも真剣にスキージャンプに向き合う姿には、とても前向きな気持ちにさせられました。

 

 

作中では近代オリンピックの基礎を築いた、ピエール・ド・クーベルタンの言葉(1896年)が引用されます。

 

オリンピックは勝つことより参加することに意義がある

勝利より努力だ

 

最近の五輪は特に参加するまでに多くの規定があり、参加することさえ難しい上にどうしても勝ち負けに目がいきがちですが、エディのように五輪出場を果たすことに大きな意味があるのだと五輪の基礎を振り返る映画でもありました。

 

 

イギリスのスキージャンプ事情

スキージャンプ競技を振り返ってみると、スキージャンプ発祥国のノルウェーや、ドイツなどの西欧諸国の選手が多いことがわかります。

 

直近の2022年開催の北京冬季五輪の出場選手*3を見てみると、イギリスの代表選手は出場していないようです。また、イギリスのスキージャンプ記録についてWikipedia*4を参照する限りでは2019年の記録が最後と、もしかしたらイギリスでのスキージャンプはそこまで盛んではないのかもしれません。

 

日本のスキージャンプの選手に目がいきがちだったので、イギリスが出場していなかったのが本当に意外で、今作を観たあとに調べて改めて驚いています。

 

イギリスだとスキージャンプへのハードルが高いなどの事情があるのでしょうか…

 

1988年カナダ・カルガリー五輪を題材にした他映画

カルガリー五輪を題材にした作品は、『イーグル・ジャンプ』のほかに1993年公開の『クール・ランニング』があります。

 

こちらは、ジャマイカボブスレー男子4人乗りチームがカルガリー五輪に初出場を果たした実話をもとにした映画です。

www.disney.co.jp

 

関連サイト

www.20thcenturystudios.jp

 

*1:サンダンス映画祭にて上映

*2:ただし、2022年2月13日にNHK総合で放送されていたらしいです。知らなかった…/イーグル・ジャンプ - Wikipedia、最終閲覧日:2023年3月11日

*3:スキージャンプ 選手一覧〔五輪〕|北京オリンピック2022:時事ドットコム、この記事以外にもWEB上で見てみましたが、イギリス選手が見当たりませんでした。見落としていたら本当にすみません。2018年開催の平昌五輪の出場国にもイギリスがありません(2018年平昌オリンピックのスキージャンプ競技 - Wikipedia、最終閲覧日:2023年3月11日)

*4:British ski jumping records - Wikipedia、最終閲覧日:2023年3月11日