やおら日記

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【洋画】『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』感想

先日、マクドナルドの期間限定ホットパイ「桔梗信玄餅パイ」についての記事を書いたので良い機会だと思い、Amazon prime videoで『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』を観ました。*1

 

ネタバレは無しの方向で感想などを書いていきます。

 

 

『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』概要

youtu.be

公開年:アメリカ)2017年1月20日、(日本)2017年7月29日

上映時間:115分

監督:ジョン・リー・ハンコック

関連書籍:レイ・クロック『成功はゴミ箱の中に

 

主な登場人物

レイ・クロック

モーリス・マック・マクドナルド(兄)

リチャード・ディック・ジェイ・マクドナルド(弟)

 

あらすじ

1954年アメリカ。52歳のレイ・クロックは、シェイクミキサーのセールスマンとして中西部を回っていた。ある日、ドライブインレストランから8台ものオーダーが入る。どんな店なのか興味を抱き向かうと、そこにはディック&マック兄弟が経営するハンバーガー店<マクドナルド>があった。合理的な流れ作業の“スピード・サービス・システム”や、コスト削減・高品質という革新的なコンセプトに勝機を見出したレイは、壮大なフランチャイズビジネスを思いつき、兄弟を説得し、契約を交わす。次々にフランチャイズ化を成功させていくが、利益を追求するレイと、兄弟との関係は急速に悪化。やがてレイは、自分だけのハンバーガー帝国を創るために、兄弟との全面対決へと突き進んでいくーー

(引用)映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』7月29日(土)ロードショー

 

感想

マクドナルドといえば、無駄のない流れ作業により注文してから提供までの短さや、セルフサービスというシステマチックなイメージがあります。

現代にも通じるその合理的なシステムが、1948年の段階でマクドナルド兄弟によって確立されていたことに衝撃を受けました。

 

1948年っていうと第二次世界大戦終戦になって約3年後ですよ。

 

木暮の89歳の祖父がまだ15歳だったころだと思うと、その時点でファストフードが確立されているという時代の進み方に純粋に驚きました。

 

その合理的なシステムの考案者であるマクドナルド兄弟の弟・ディックはあらゆるものを数値化し、システマチックに店の運営をしつつ規模の拡大には渋っていました。対して兄のマックは、しがないセールスマンのレイ・クロックの情熱に押され、フランチャイズへの挑戦に前向きでした。

 

しかしこのフランチャイズ化にあたって「利益」の考えは外せません。当初はマクドナルド兄弟の店への想いを汲んでいたレイ・クロックですが、徐々に店のコンセプト以上に利益を追求するように考え方をシフトしていきます。

 

マクドナルド兄弟は店の在り方を「利益」以外の側面に見出しているいわゆる「職人気質」で、「利益」ばかりを追求するやり方には難色を示します。

 

現在も世界中でマクドナルドが食べられるようになったのも、「マクドナルド」という名前が世界中に広がったのもレイ・クロックあってこそだと思うので、単なる「職人を喰ったビジネスマン」としてレイ・クロックを責めることはできないのではないかと思いますが、如何せんすっきりしない…

 

彼が自身の「執念」に忠実に動いたことは、いわゆる「成功」への道筋の提示なのかもしれませんが、彼の執念を参考にできる人はどれくらいいるんだろうと思いました。

 

参考にできる人はすごいなと思いますが、その先にあるのが人間としてどんなものになっているのかが想像の域を越えるので、ラストにかけての静かだけど怒涛の展開は目が離せませんでした。

 

観る人によって視点が大幅に変わってくる映画なのではないかと思うので、仕事などにおいて「何か成果を上げたい」と思っている人や、現状に満足していないけど何も手を出せていない人にも観てほしい映画です。*2

 

帝国実現のための手段は「執念」によってどのような形に変化するのか、実際に観てほしい映画です。

 

余談

あなたは「創設者(founder)」じゃないでしょうが!!

 

と、レイ・クロックに対して映画の途中から思い始めたのですが、そもそも「founder」って「found(見つけた、findの過去形)」という文字も入っていて、レイ・クロックはある意味「(帝国を創る足掛かりである)マクドナルドを見つけた人」でもあるのかと変な考えがよぎりました。それなら「founder」でもあるかと少し納得。

 

そもそも創設者を表す「founder」は「found(創設する)」を元としているのと、「見つけた人」を意味するのは「discoverer」らしく「founder」に関係ないので、あくまでも思い過ごしの域にとどまります。

 

同時代を扱った映画

『ファウンダー』の時代(1954年以降)と同時代を扱った映画について。

木暮が今思い出せるもので書いています。

なので「この映画を入れていないなんて!!」ということがあると思いますが、何卒ご容赦ください。

 

『Stand by me』

1959年のオレゴン州が舞台。少年4人が冒険する話。

少年ひとりひとりに悩みや葛藤があり、日々の鬱屈とした生活から抜け出すかのように少年たちが冒険に出る様子や、冒険の途中の野宿で交わされる会話などが見どころのひとつ。映像的見せ場はもちろんのこと、会話による見せ場が多い印象。

 

1950年代のアメリカ様子が冒頭に映る街並みからも見てとれるので、『ファウンダー』でマクドナルドが始まった時代をもっと知りたいという方には観てほしい映画です。

木暮は『ファウンダー』を観つつ『Stand by me』と同時代かと思うと、時代背景が少し鮮明に感じ取れた気がしています。

 

作中に登場する不良グループが乗る車も、1950年代のアメリカ車がいきいきとしていて見ていて楽しいです。*3

やっていることは、結構危ないことなんですけどね…

 

『レボリューショナリーロード 燃え尽きるまで』

1950年代末のニューヨーク郊外コネチカット州が舞台。タイタニックのローズとジャックで知られているケイト・ウィンスレットレオナルド・ディカプリオが夫婦役として再共演したことでも話題になった作品ですが、内容としてはあまりすすんで人に勧めるような内容ではなくてですね…

でも、気持ちに余裕があるときに観ることをおすすめしたいと思います。

 

『ファウンダー』ではレイ・クロックが現状打破のために自分の執念に従って行動し、ハンバーガー帝国へと至りますが『レボリューショナリー・ロード』では主人公夫婦が現状打破しようともがき、行き着く先が『ファウンダー』とは対照的なので、同じ1950年代で現状打破しようとした両者の違いを思うと、なんだか感傷に耽ります。

 

『グリーン・ブック』(1960年代ですが)

1962年のアメリカ中西部を回る話。『ファウンダー』の中でレイ・クロックが乗っていたライト・ブルーの車が、『グリーンブック』で主人公たちが乗っていた車を想起させられたので、ここに追加しました。

 

ちなみに車種は…

『ファウンダー』:1953年製プリマス・クランブルック・ベルベディア*4

『グリーン・ブック』:キャデラック ドゥビル セダン*5

 

でした。車種は全然違いますが、1950〜60年代のアメリカ車が走っている様子を観れるのは映画の醍醐味ですね。

 

また『グリーン・ブック』では途中で「ケンタッキー」のフライドチキンを食べるシーンがあります。映画の時代設定が近いので『ファウンダー』でもマクドナルドと同時代の1952年創業のファストフードチェーン「ケンタッキー」について触れられるのかなと思っていたのですが、そんなことはありませんでした。当たり前か…

 

ちなみにケンタッキー州マクドナルドの始まりの地カリフォルニアは約3431kmほど離れているそうです。*6

ちょっと想像がつかない遠さ…

 

『ALWAYS 3丁目の夕日』

1958年の夕日町という架空の街(日本)が舞台。

当時は東京タワー竣工が話題になっていて、各家庭にまだテレビが普及していない時代でした。

戦後の飛躍的な回復が見てとれるので、日本の1950年代を知る上でも見どころ満載の映画だと思います。

 

 

今回書いたこれらの映画以外では『バック・トゥー・ザ・フューチャー』も1950年代を舞台にしている映画です。他にも1950年代を舞台にした映画は結構あるので、そちらを探っていくのも面白そうです。