やおら日記

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【洋画】『フォード vs フェラーリ』感想

 

アメリカのフォード社がカーレース王者のイタリアのフェラーリ社から、ル・マン24時間耐久レースにて王者の座を奪おうと奮起する物語。

 

 

『フォード vs フェラーリ』概要


www.youtube.com

公開年:(米)2019年11月15日、(日)2020年1月10日

上映時間:153分

監督:ジェームズ・マンゴールド

 

あらすじ

カー・デザイナーとして活躍するキャロル・シェルビーのもとに、アメリカ最大の自動車メーカー、フォード・モーター社からオファーが届く。それは、ル・マン24時間耐久レースの絶対王者に君臨していたイタリアのフェラーリ社に勝てる車を造ってほしいという、不可能とも思える内容だった。さっそくシェルビーは凄腕のドライバーのケン・マイルズを口説き、レーシングカー、フォードGT40の改良とテストを重ねていくが…。

(引用)フォードVSフェラーリ|映画/ブルーレイ・DVD・デジタル配信|20世紀スタジオ公式

                                     より一部抜粋

 

感想

堅物なイギリス人レーサーと、かつて活躍したアメリカ人レーサーがフォード社と組んでフランスのル・マン24時間レースで、カーレース王者のフェラーリ社から王者の座を奪おうと奮起する物語。

 

イギリス人レーサーのケン・マイルズをクリスチャン・ベールが演じ、かつてカーレースで活躍し、カーデザイナーとしても活躍しているキャロル・シェルビーをマット・デイモンが演じています。

 

1959年開催のル・マン24時間耐久レースで優勝した経験をもつシェルビーは、自身の体調の悪化からレーサー人生に終止符を打ち、その後は「シェルビー・アメリカン」を設立してカーデザインと自動車販売の世界でも成功していました。

 

そんなとき、アメリカのフォード・モーター社からル・マン24時間耐久レースにて、イタリアのフェラーリ社に勝てる車を開発してほしいと依頼されます。

 

そこでシェルビーはとあるレース会場で知り合ったイギリス人レーサーのマイルズに声をかけ、一緒に車の開発をしようと持ちかけます。

 

マイルズは自身の個人経営の自動車整備工場が差し押さえられ生活に困っていたことや、シェルビーの強い押しと車への強い思いがあって、乗り気ではなかった開発に徐々にのめり込んでいきます。

 

カーレーサーの腕前も高いマイルズのことを評価していたシェルビーは、フォード社側がマイルズの素行に難色を示しても、マイルズと関係を切る選択はしませんでした。

 

むしろ、あの手この手でフォード社を黙らせるかのように動き、ル・マン24時間耐久レースの舞台でマイルズを走らせることへの覚悟からは、仕事仲間以上の強い関係性も感じました。

 

また、カーレース自体が危険と隣り合わせだということも忘れられません。

 

当然ながら劇中でもその危険性を感じる場面が多々登場しますし、それに対するマイルズの家族の不安な思いと、マイルズの夢を応援したいという思いの両方がせめぎ合っていることが描かれることで、ますますこの業界特有の緊張感を感じました。

 

 

映画のタイトルにあるフォード社とフェラーリ社の戦いについては、フォード社内で起こる社内抗争の方が印象に残っている分、そこまで印象には残りませんでした。

 

しかし、ル・マンの地で互いの存在を意識する整備士たちスタッフの様子によって、マイルズたちレーサーを支えている側の人間としてカーレースにかける思いの強さや、カーレースが多くの人たちに支えられて成り立っていることも示されています。

 

 

今作はル・マンの舞台に向けた開発についての映画ではありますが、それに至るまでの登場人物の関係の変化や、その世界に対する情熱、組織対人間の構図など様々な要素が組み込まれているため、カーレースに詳しくない人でも引き込まれる映画だと思います。

 

かくいう木暮もカーレースに詳しくないため、劇中に登場するカーレースの大会や登場する車種についての解説等はできませんが、今作によってカーレースの世界について以前よりも知ることになりました。

 

 

加えて今作は、コロナ禍直前に映画館で観ることが叶った作品のひとつで、映画館で鑑賞した当時はレース内での無音の時間や、エンジンの音などを身体で感じたので、よい体験ができたと思っています。

 

この記事を書くにあたって、地元TSUTAYAでレンタルしてふたたび鑑賞し、メイキング映像を見ることができました。

 

その中でも劇中の登場人物の描写について興味深いことがありました。

 

メイキングインタビューでマイルズの実の息子であるポール本人が答えており、その内容が劇中のマイルズそのものだったので、マイルズと息子ポールの関係やマイルズの人柄については、事実に近いものになっている印象を受けました。

 

ポールが語った父のエピソードとして特に印象的だったものが、ライバルになるレーサーを相手が目をそらすまで凝視して、そらされたら勝ち誇ったような表情を浮かべていたというエピソードでした。

 

このエピソードに近い描写が劇中でも登場するので、マイルズのカーレースにかける思いの強さと人柄が表れていたのだと驚きました。

 

その他にもマイルズがカーレース本番だけでなくテスト走行も同様に仕事として真剣に向き合っていたことも語られ、劇中のマイルズという人物に、より立体感を感じることになりました。

 

 

カーレース本番以上に、企業間の戦いの裏にあった個人個人の葛藤とカーレース本番に至るまでの過程が丁寧に描かれており、観ているこちらもカーレース本番に向けて感情が昂るような力強い映画でした。

 

 

関連サイト

www.20thcenturystudios.jp